KZ(Knowledge Zenith)のPRXは、2024年後半に発売された、第4世代の平面磁気駆動(プラナー)ドライバーを搭載した高音質インイヤーモニター(IEM)です。
KZの平面駆動シリーズ(PR1/PR2/PR3)の集大成とも言えるモデルで、これまでの課題だった「高音の刺さり」や「音の厚み」が大幅に改善されています。
主な特徴とスペック
PRXは、従来のダイナミック型やBA型とは異なる「平面駆動方式」を採用しており、非常に歪みの少ないクリアな音が特徴です。
| 項目 | スペック |
| ドライバー | 13.2mm 第4世代平面磁気駆動ドライバー |
| 周波数特性 | 20Hz – 40kHz |
| インピーダンス | 15Ω |
| 感度 | 94dB |
| プラグ/ピン | 3.5mmプラグ / 0.75mm 2-pin (QDCタイプ) |
音質の特徴
- 高音域の改善(マイルド化) 前作のPR3などは高音が非常に鋭く、人によっては「刺さる」と感じることがありましたが、PRXではダンピング構造の最適化により、煌びやかさを保ちつつも滑らかで聴きやすい高音になっています。
- 重厚な低音域 平面駆動らしいレスポンスの速さに加え、第4世代ドライバーの磁気回路強化により、深みとパンチのある低音を実現しています。いわゆる「サブベース(地響きのような低音)」の表現力も高いです。
- 広い音場と高い解像度 音が左右に広く展開し、楽器の分離感も良好です。ボーカルは埋もれずクリアに聞こえますが、やや寒色系(クール)でスッキリした印象を与えます。
前モデル(PR3)からの進化点
- 磁気回路の強化: N52ネオジム磁石を14個使用し、音の密度が向上。
- 刺さりの抑制: 高音のピークが抑えられ、長時間のリスニングでも疲れにくくなりました。
- ビルドクオリティ: 合金製のフェイスプレートを採用し、デザイン的にも高級感が増しています。
⚠️ 使用上の注意点
- パワーが必要(重要) 感度が94dBと低めなので、スマートフォンの直挿しでは本来の性能(特に低音の厚みや音場の広さ)を引き出せません。ドングルDACやアンプを使って、しっかりパワーをかけて鳴らすのがおすすめです。
- リケーブルの推奨 付属のケーブルでも十分楽しめますが、より音の分離を良くしたい場合は、バランス接続(4.4mmなど)へのリケーブルも効果的です。
まとめ KZ PRXは、「1万円以下で本格的な平面駆動サウンドを体験したい」という方に最適な一台です。これまでのPRシリーズの弱点を克服し、非常にバランスの取れた「優等生」的な進化を遂げています。
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リケーブル
KZ PRXのリケーブル(ケーブル交換)について、その効果と選び方のポイントを解説します。
結論から言うと、PRXは「4.4mmバランス接続へのリケーブル」の恩恵が非常に大きいイヤホンです。
1. 接続端子の種類
まず、PRXに適合するコネクタを選び間違えないことが重要です。
コネクタ形状: QDCタイプ(またはKZ C-pin)
ピン径: $0.75\mathrm{mm}$(市場の$0.78\mathrm{mm}$のQDCケーブルでも基本的には刺さりますが、KZ専用のC-pinを選ぶのが最も安全です)
注意: 突起のない「通常の2-pin」でも音は鳴りますが、根元が露出して折れやすいため、必ずカバー付きのQDCタイプを選んでください。
2. なぜリケーブルが必要か?
PRXにおいてリケーブルが推奨される理由は、音質変化以上に**「パワー不足の解消」**にあります。
鳴らしにくさの克服: PRXは感度が94dBと低く、平面駆動という特性上、駆動力を必要とします。4.4mmバランスケーブルに交換し、バランス出力対応のDAC/アンプで鳴らすことで、低域のキレと音場の広がりが劇的に向上します。
取り回しの改善: 付属ケーブルは細くて絡まりやすいため、太めの多芯ケーブルに変えるだけで物理的な使い勝手が良くなります。
3. 音質傾向別のおすすめ素材
リケーブルの素材によって、PRXの音を自分好みに微調整できます。
| 素材 | 音の変化 | こんな人におすすめ |
| 高純度銅線 | 中低域に厚みが出て、音が柔らかくなる。 | 刺さりを抑え、リスニングを快適にしたい。 |
| 銀メッキ銅線 | 解像度が上がり、高域の煌びやかさが増す。 | 平面駆動らしい緻密で派手な音を楽しみたい。 |
| ミックス線 | 銅と銀のいいとこ取り。バランス型。 | 全体的に解像感とパワーを底上げしたい。 |
4. 具体的なおすすめブランド
コスパ重視なら以下の定番がハズレがありません。
NiceHCK (ナイスエイチシーケー):
BlackCat: 亜鉛銅合金で低域の押し出しが強くなる。
SnowWings: QDC対応で白く美しい。解像度重視。
Tripowin (トリポウィン):
Zonie: 16芯の銀メッキ線。非常に柔らかく、取り回しが最高レベル。
KZ純正アップグレードケーブル: 一番安価で確実にフィットします。「金銀銅ミックス」の8芯タイプなどが人気です。
個人的なアドバイス
PRXはもともと「KZにしては刺さりが少ない」モデルですが、それでも高域が明るめです。もし「もう少ししっとり聴きたい」なら純銅線、「もっとバキバキの解像度が欲しい」なら銀メッキ線を選ぶと幸せになれます。






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